発達障害とは

発達障害(神経発達症)の代表例には注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)が挙げられます。
注意欠如・多動症の主な症状は不注意や多動です。
幼少期から忘れ物が目立ち、ケアレスミスが多く、ランドセルを持たずに登校してしまう方もいます。
成人以降では、携帯電話や鍵などを置きっぱなしにしてしまうため外出前に探し回る方がいます。
多動の症状は幅広く、授業中に立ち歩いてしまうという目立ちやすい多動もあれば、貧乏ゆすりが多い、じっとしているのが苦手などの目立ちにくい多動もあります。
自閉スペクトラム症の特徴は、コミュニケーションにおける支障とこだわりの強さです。
前者の特徴としては、相手の表情や身振り手振りから気持ちを読み取ることが苦手だったり、冗談に気がつかずに字義通りに意味を受け取ってしまったりする傾向があります。
後者の特徴としては、同じ習慣への強いこだわりが挙げられます。
予定外の出来事が起こると些細なことであっても苦痛に感じる方が多いです。
感覚の過敏性が見られることもあります。
たとえば家庭で作る料理は食べられないが、コンビニのお弁当であれば食べられるという味覚の過敏性を持つ方がいます(家庭の味は日々変動しますが、コンビニの味は往々にして一定です)。
発達障害の治療と注意点
注意欠如・多動症には薬物療法が有効である場合があります。
成人には日本では3種類の内服薬が使用されます(当クリニックではコンサータの処方はできません)。
衝動性を抑えるために注意欠如・多動症の内服薬以外のお薬を併用することで症状が安定する場合もあります。
自閉スペクトラム症に関しては、症状の改善を図る有効な薬物療法はありません。
ただし、必ずしも生活上の支障が一生続くというわけではありません。
成長するにつれて自身の特性を把握する方もいますし、新たに出会う友人、クラスメイトや同僚などをロールモデルとしていくことで、自分に合った適切な対処ができるようになり、徐々に苦痛が軽減していくことがあります。
日々の困難が積み重なることでうつ症状を併発する際には、うつ病に準じた治療を行います。
また、発達障害の特性は幼少期から見られますが、思春期・成人以降には統合失調症、躁うつ病などの疾患を併発する方もいます。
このため、思春期以降に症状の出現や変化が見られる場合には、一概に思春期特有の悩みごとであると判断する前に、医療機関での適切な診察と診断を受けることが望まれます。
(なお、「自閉スペクトラム症に起因する夫婦間の不仲を治したい」という要望に関しましては、一般外来では充分に希望にお応えすることが難しい場合が多いため、外部のカウンセリングオフィスでの夫婦カウンセリングなどを推奨しています。)